数学モデルが明らかにする画像処理アルゴリズム





『人間の認識能力を実現する』というのは画像処理システムの大きなテーマの一つです.我々は日常生活で様々な画像処理を行なっています.雑踏の中で待ち合わせの人を探す.電車の中で広告を読む.出かける前に服の柄合わせをする.見難い文字に目を凝らす.誰もが当然のように行なっていますが,これらは人検出・文字認識・テクスチャ解析・焦点推定と呼ばれる高度なアルゴリズムにより実現されてします.そしてこれらのアルゴリズムを高精度にコンピュータに代替・実現させるのは,現状では困難です.何故ならば,そこに隠されている『理論』がまだ明らかになっていないからです.フラクタル理論,モルフォロジー演算,ラプラシアン階層など様々な数学モデルを用いて,これらを理論的見地から解明する研究を行なっています.



自己相似性に基づいた自然画像のセグメンテーション




フラクタルとは自然世界に観察される自己相似性を評価する理論ですが,この相似性評価を画像処理に導入することで様々な領域抽出が可能となります.





ラプラシアン階層とモルフォロジー演算による古文書の低ノイズ・高精細アーカイブ化




また人間の認識能力を理論で再現することは,現代社会で実施されている作業の機械化・高速化に繋がります.スペシャリストの認識能力を理論的見地から解明し,システムによって再現・代替されることは,安全で豊かな社会の実現に繋がります.



LOG強度とパターン類似度による画像復元




スペシャリストにはもちろん芸術家も含まれています.彼らの技術を理論的に明らかにすることができれば,たとえば経年劣化した絵画の修復目安の作成といった,知的財産保存の支援を行うことも可能となります.



空間距離と質感テクスチャを用いたスクラッチ損傷の修復