2.逆ノッチフィルタを用いた音高推定
自動採譜システムを実現するためには,音高推定技術が不可欠となっています.
音高推定技術とは,楽音の基本周波数を推定する技術のことです.
従来の研究では,楽音データを周波数領域に変換してから,基本周波数を求めることが多いのですが,楽音の平均律音階の隣り合う音高の基本周波数比は2^{1/12}(2の1/12乗)であり,その周波数配置は等間隔になりません.
このためFFTなど等間隔の周波数成分を求める手法では,周波数補正などの付加的な処理が必要となり演算量が増大します.
そこで我々は,少ない演算量でリアルタイム処理が可能な,逆ノッチフィルタを利用した音高推定法を提案しています.
逆ノッチフィルタは,比較的正確に基本周波数を設定可能であり,観測信号から基本周波数を直接抽出することができます.
さらに,基本周波数の抽出を目的としているので,ピアノ88鍵盤すべてを対象とする場合でも,サンプリング周波数は8kHz強(電話帯域程度)あれば推定できるという特長があります.
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