信号システム解析

私たちの身の回りには,時間の経過とともに波形が変化する様々な信号が存在しています.
例えば,音声ではほぼ同じ波形が繰り返し現れるのに対し,騒音の波形は不規則に変動します.
心電図の波形では規則的なパルスが現れるのに対し,画像の断面波形はゆっくりと変化します.
数学的手法を用いて信号の特徴を解析し,その解析結果に基づいて,コンピュータを使って
便利な信号に変換したり,意味のある情報を抽出することを信号処理といいます.
例えば,雑音成分を取り除いて元のきれいな信号を取り出すこと,過去のデータに基づいて
未来の値を予測すること,無駄な成分を取り除いてコンパクトに表現すること,どの周波数成分
をどれくらい含んでいるかを解析すること,などがあります.
このような技術は,携帯電話,デジタルカメラ,インターネットなど身近なところで用いられています.
優れた信号処理システムを設計するために,信号の特性を解析し,その特徴をうまく利用した
効率のよい処理アルゴリズムを開発しなければなりません.そこで,信号解析論,システム解析論,
スペクトル解析論などの数学的な理論を駆使して,人間のもつ予測・適応・学習・推論・判断などの
柔軟な情報処理機構を工学的に応用することを目指し,推定精度,追随性能,計算量を評価尺度に
取り入れたシステム解析手法と処理アルゴリズムについて研究を行っています.